文書作成日:2022/05/05


 相続に伴い契約者変更をした生命保険の税金について教えてください。




 亡くなった父の相続手続きにあたり、父が管理していた書類を整理したところ、契約者が父、被保険者が私(A)になっている生命保険が見つかりました。2年後満期になったときに満期保険金がおりる契約です。
 保険会社に確認したところ、契約者を父から私に変更して引き継ぐよう案内され、この手続きは完了しました。引き継いだ生命保険は、父の相続に係る相続税においてどのように扱われるのでしょうか。また、引き継いだ後、私が受け取る満期保険金の税金についても教えてください。

【契約内容】
  • 保険種類:養老保険
  • 保険期間:10年満期(残2年)
  • 保険金額(死亡・満期):500万円
  • 保険料払込方法:全期前納払い(全額父負担)
  • 契約者:父(契約引継ぎ後:A)
  • 被保険者:A
  • 死亡保険金受取人:父(契約引継ぎ後:Aの配偶者)
  • 満期保険金受取人:父(契約引継ぎ後:A)




 ご相談のケースでは、相続により引き継いだ生命保険は、「生命保険に関する権利」として、お父様がお亡くなりになった時点の解約返戻金相当額に未経過保険料等を加算等した額が相続税の課税対象となります。また、Aさんが受け取ることとなる満期保険金は、所得税(一時所得)の対象となります。


1.被保険者とは異なる契約者が保険契約期間中に死亡した場合

 被保険者とは異なる契約者が保険契約期間中に死亡した場合は、契約者の変更を行います。
 変更後の新しい契約者は、その契約の権利を引き継ぐことになります。

2.相続時の税務上の取扱い

 引き継いだ生命保険は、「生命保険に関する権利」として相続税の課税対象となります。

(1)評価額

 評価額は、原則、契約者が死亡した時点の解約返戻金の額となります。

 ただし、ご相談のケースのように、保険料が前納されており解約返戻金とは別に受け取ることができる未経過保険料がある場合や、配当金等がある場合は、解約返戻金に未経過保険料や配当金の額を加えた額が評価額になります。

 なお、解約返戻金の額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合は、当該金額を控除することができます。

(2)相続財産の評価

 “生命保険”となると、死亡保険金の非課税枠を思い浮かべるかと思います。

 しかし、ご相談のケースは保険事故が発生していない生命保険であり、本来の財産として取扱われます。死亡保険金の非課税枠(※)の適用ができる被相続人の死亡を保険事故として受け取る生命保険とは異なるため、死亡保険金の非課税枠を適用することはできません。

※ (500万円×法定相続人の数)を限度として、相続税の計算上非課税とすることができる制度です。

3.満期保険金に係る税務上の取扱い

 将来Aさんが受け取る満期保険金は、契約者と満期保険金受取人が同一であるため、所得税(一時所得)の対象となります。一時所得の計算においては、相続により権利を引き継いだ生命保険は、引き継いだ契約者自らが当初から保険料を負担したものとして取扱います。

 なお、契約者が被保険者より先に亡くなって引き継がれる生命保険は、相続財産の確認において漏れやすいため、税制改正により保険会社から税務署へ発行される調書の見直しがされており、現状では死亡により契約者が変更された一定の契約については、一定事項を記載した支払調書が所轄税務署長へ提出されることとなっています。

 税務署にとっては死亡による契約者変更の事実を把握しやすくなりましたが、ご遺族としてはどのように扱えばよいか分かりづらい契約形態であることに変わりありません。

 相続に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。


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